コンテンツにスキップ

食器・食具で変わる? 子どもたちの食環境

こんにちは、コドモンで管理栄養士をしている川口です!

子どもたちに美味しい食事を食べてほしいとの想いから、保育園の給食では、さまざまな工夫をされていることかと思います。
季節を感じる献立やかわいい盛り付けはもちろん、実は食器や食具も子どもたちの食べ進みに影響を与えることはご存じでしょうか。

子どもの発達に応じた食器・食具を使うことで、口に運ぶ動作がスムーズになり、食べる意欲がわいたり、完食を味わう達成感を感じたりと、より豊かな食体験につながります。
今回は、保育園の食事で使う食器・食具の役割や、選び方のポイントを子どもの発達にもとづきお伝えします。

食事における食器・食具の役割

子どもたちが毎日使う食器・食具は、食事が上手に食べられるようにサポートする役割を持っています。
離乳食から食べる練習がはじまり、徐々に手指や口腔機能の発達が進み、自立して食事が食べられるようになる……その過程で食器や食具を含めた食環境を整えることによって、食べる動作がスムーズになると、自然と「食」に対する意欲も向上するでしょう。
さらに、食べるときの正しい姿勢や食器・食具の持ち方を通して、食事マナーを学ぶことで子どもたちの食育へとつながっていきます。

子どもの手指・口腔機能の発達

食事で重要な役割を持つ食器や食具を選ぶためにも、まずは子どもの手指や口腔機能の発達を理解しましょう。
各年齢に応じた発達の目安は下記の通りです。

食事をするうえで必要となる体の発達は、全身を動かせるようになってから、腕、ひじ、手のひら、手指の順番で中心から末端へと進んでいきます。
手指の発達により食具の扱い方も以下の順番で変化します。
  • ・上手持ち:手のひら全体で食具の柄を握る
  • ・下手持ち:親指・人差し指に力が入るようになり、親指で食具の柄を支える
  • ・三指持ち:指に力が入るようになり、親指、人差し指、中指で食具の柄を支える

また、口腔内の動きも様々な食経験や日々の食育を通じて、自分に合う一口量を覚えながら食べる力の定着へとつながっていきます。
このような子どもの発達段階を知ったうえで、年齢に合った適切な食器・食具を選択していきましょう。

食器・食具を選ぶポイント

食器・食具を選ぶ際のポイントは、「素材」と「使用する年齢」の2つです。 子どもの食べやすさを第一に、給食室での保管方法も考慮しながら園の運用に合ったものを検討していきましょう。

①素材の違い

まずは食器に使われている素材の違いを紹介します。
給食の食器で使用される主な素材の特徴は下記の通りです。

素材は大きく3つに分けられますが、乳幼児期は強化磁器の製品がおすすめです。
樹脂製品は軽く扱いやすい利点がある一方、料理を盛り付けてもあまり重くなりません。
そのため、手で持つときに倒れやすかったり、スプーンですくってもお皿が逃げやすかったりと、子どもが上手く食べられない可能性があります。
磁器であれば、盛り付け量が少なくても重量感があるため安定し、食事を進めやすくなります。

②年齢に適した食器・食具について

つぎに年齢別の発達も考慮して必要な食器・食具を選びます。
各年齢別の<準備する際に気を付けたいポイント>は次の通りです。

離乳食(0歳児)~乳児食(1-2歳児)

初期食

  • ・介助スプーンは柄が長く、スプーンのくぼみができるだけ浅いものを準備します。子どもの口幅よりも小さいものが望ましいです。大人が介助するので、器は扱いやすいものであれば問題ありません。

中期食

  • ・中期食に入ってスープを提供する場合は、スープ用に少し深みのあるスプーンを準備します。大人が介助するので、器は扱いやすいものであれば問題ありません。

後期食

     
  • ・汁やお茶などすり飲みを練習するコップを準備します。持ち手がない方が両手で支えられ、唇を使う練習になります。カットコップを使うと、頭をそらさないで飲むことができるようになります。
  • ・手づかみ食べがはじまる時期なので取り皿を準備します。小さい取り皿で湾曲しているとよいです。

完了期食~乳児食

  • ・自食用のスプーンを準備します。持ち手は平らではなく、太いグリップのもの、食器はふちに返しがあるものの方がすくいやすくおすすめです。コップは持ち手のないものがよいでしょう。

※ 写真は完了期食~乳児食の組み合わせ例です。


幼児食(3-5歳児)

  • ・3歳児はスプーンをメインに、4歳児ごろから徐々に箸が利用できるように準備します(フォークは麺などスプーンで食べにくい献立がある場合に用意)。スプーンは柄が太く、くぼみが深いものが望ましいです。
  • ・食器はごはん茶碗、汁椀、主菜・副菜、デザートをそれぞれ盛り付け、三角食べができるように準備します。

コドモンストアで購入できる給食の食器・食具はこちらから確認できます。


発育・発達の著しい乳幼児期では、食器や食具ひとつとっても大切に選びたいものです。
今回お伝えした内容はあくまで目安になりますので、個人差も考えられます。
園の子どもたちの成長に合った食器・食具を準備し、食事を美味しく食べられるように食環境を整えていきましょう!

前の記事 グローバル化がすすむ保育施設、コミュニケーション課題に向き合う
次の記事 日常使いにもおすすめな防災用品・非常用電源