他の施設はどうしてる?ゆとりを生み出す「掃除」の4つのアイデア
子どもたちの健やかな成長を支えるために、日々の保育やケアに加え、清掃や衛生管理にも力を尽くしておられる職員のみなさま、いつも本当にお疲れさまです。
施設を清潔に保つことは、子どもたちの健康と安全を守るうえで欠かせない大切な取り組みですが、保育や記録業務など多忙な日々の中で、清掃に十分な時間を割くのは容易ではありません。
今回は、他の施設が実践している「負担を減らしながら、無理なく清潔を保つ」ための具体的な工夫を、実際の声とともにご紹介します。
現場の課題整理
多くの施設で清掃が負担となる背景には、共通した課題があります。
- 時間不足と優先順位の難しさ : 子どもと向き合う時間や記録業務の優先度が高く、清掃時間の確保が大変
- 作業範囲の広さ : 保育室、トイレだけでなく、おもちゃやドアノブの消毒、エアコンなどの設備機器など清掃範囲が広い
- 外注コストの懸念 : 専門業者に依頼したいが、費用面の負担が大きい
これらの課題に対し、他の施設ではどのような工夫をしているのでしょうか。
アイデア1:利便性の高い製品を導入し、日々の負担を軽減する
日常の掃除や消毒作業は、職員の身体的負担も大きく、時間もかかります。道具を見直し、効率的なアイテムを取り入れることで、作業の負担を軽減できます。

ロボット掃除機を使っています。朝、子どもがくる前と全員が帰ったあとに1部屋ずつ稼働。1日2部屋に使うだけでも掃除の負担が全然違います。終わったら子どもから見えない場所に収納しています

普段の掃除では殺菌庫と希釈せずに使える消毒液を使用しています。薄めずに使えるのがとても便利で助かっています
まずは1台、1アイテムから試し、少しずつ環境を整えていくのがおすすめです。清掃用品の購入には、コドモンポイントを活用することもできます。
アイデア2:専門性が必要な箇所はプロに任せる
エアコン内部や害虫対策など、専門的な知識や技術が求められる箇所は、プロに任せるのが安心です。

エアコンクリーニングの費用は、年間予算にあらかじめ組み込んでいます。費用は発生しますが、その分エアコンの効きがよくなり衛生環境も改善されるので、電気代の削減につながっていると思います

年に1~2回、子どものいないときに業者を呼んで害虫駆除してもらっています
業者を選ぶ際は、保育施設での作業実績や、作業時の子どもの安全への配慮を確認しましょう。
経費については、電気代削減効果や職員の労働時間削減効果、衛生環境の向上といった多角的なメリットを鑑み、予算編成時に「未来への投資」として組み込むことを検討しましょう。また、施設の環境整備や衛生対策に特化した自治体の補助制度を調べることも有効な一手です。
アイデア3:専門の担当者に掃除を委託する
施設によっては、専任の担当者に清掃業務を委託しているケースもあります。

掃除要員として地域のシルバー人材センターを利用しています

掃除専門スタッフを雇用しています。保育士や保育補助の募集よりも多くの応募が集まります。先生の負担が軽減されとても助かっています
掃除を任せることで、先生方が本来の保育業務に集中できるだけでなく、施設全体の衛生環境も向上します。
清掃業者に比べて価格を抑えて依頼できることが多く、日常の掃除を業者に毎回依頼するよりも、長期的にみてコストを抑えられるケースもあります。
アイデア4:子どもを巻き込み「行事化」して学びにつなげる
大掃除を保育活動の一環として取り入れることで、子どもたちに“感謝の気持ち”や“自分たちの空間を大切にする心”を育む取り組みも広がっています。

大掃除は幼児クラスの子どもたちと年末に実施します。自分のロッカーや保育室を“ありがとう”の気持ちで掃除しています

平日も子どもたちと一緒に掃除をしています。ほうきで掃いたり、モップで拭いたり、また、簡単な消毒を取り入れています
あくまで活動として捉え、衛生管理上重要な消毒作業や手が届かない高所の清掃は、必ず職員が行うよう線引きを明確にすることが重要です。
まとめ:清掃の負担を「仕組み」に変え、保育・ケアの質を向上を目指す
先生方が心と体にゆとりを持つことは、子どもたちと向き合う時間をより豊かにし、保育・ケアの質向上につながります。
まずは、以下の具体的な一歩からご検討ください。
- 現在の掃除箇所をリスト化し、手間のかかる部分を明確化する
- まずは便利な道具を1点導入してみる
- 年間清掃予算を見直し、手間のかかる箇所や専門性を要する箇所はプロや外部への依頼を組み込む
この機会に、清掃体制を見直し、職員のみなさまに“ゆとり”を生み出す環境づくりを進めていきましょう。